『メアリと魔女の花』いろんな意味でポノック。
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熱のないだらだらした感想
『メアリと魔女の花』
Mary and the Witch’s Flower
IMDb | 6.8/10 |
Rotten Tomatoes |
89/100 |
映画.com | 3.0/5 |
Yahoo!映画 | /5 |
Filmarks | 3.2/5 |
coco | 34/100 |
あらすじ:魔法の花の力で、魔女になってしまった。
おすすめポイント:イイ作画
かなりお話がぼんやりしているので、おすすめするポイントもあまり思いつかず。いよいよもって何が面白いかまるでわからない。
ゴミ映画と断罪するほどは破たんもしていないので逆の面でも紹介しにくい。
予想通り画のクオリティは高いものの、あっと言わせるような画は記憶にない。急速に記憶から消えていきそう。
ジブリっぽいけど、ジブリでない。
スタジオポノック第一回作品。
新興のスタジオの第一作目。それがキャッチコピーになるくらいだから、日本映画界のポストジブリ探しはまだまだ終わらない。新海誠、細田守。そして本作の米林宏昌監督。当人の作風やスタンスにかかわらず宣伝媒体などではジブリを意識した紹介のされ方が多い。
宣伝側はさておき、今の観客が求めてるのはどんなジブリ観なのか。
結局のところ、各々どの程度ジブリや駿やらを期待するかにつきる。
私の場合は、どこまで宮崎駿の作家性を理解できているかは自分でもわからない。
ただ言えることは、一番好きな部分は、尖った部分ではない。自然畏怖するような雄々しいダイナミズムとか、女性のフェティッシュな描き方だとか、宮崎監督の個性によるところではなく別の面から見て宮崎作品が好きだ。
天才性よりも秀才な部分。普遍的なエンタメ要素をしっかりと押さえてくれることに絶対的な信頼感があった。(ただしハウルまで)
活劇的とでもいうのだろうか、「これからどんなお話が始まるのか」非常にわかりやすく期待させてくれた。
宮崎作品は、序盤のうちに明確に目標設定を提示して、それが達成するかどうかで観客の興味を引っ張ってくれていた。
パズーはシータを助けるために、ルパンはクラリスのため奔走する。
メアリも、事件に巻き込まれる立場なのは同じだが彼女自身に何か目的が生じたりはしない。
宮崎作品では、巻き込まれていく過程で自分のなかから湧いてくる目的が生じている。千尋は湯屋に迷い込んで働かされるが、両親を助けるためという目的がある。
メアリにはそれがない。 ただただ、状況に巻き込まれて一喜一憂するくらいで、彼女自身に何か望みがあって行動したり、解決すべき問題があるわけでもない。
中盤を過ぎたあたりでようやく、目的が生まれるが、そのころには大半の観客は映画に飽きてることだろう。 目的が生じるまでが異常に遅いため、観客がどこに集中すればいいか提示されないため非常にお話に飽きやすい構造になっている。そのため、あらすじも説明しにくく、おすすめもしづらい。
メアリは、魔法の花を見つけ、魔力を得たため、魔法大学に迷い込んでしまう。校長に魔法の花のありかを聞かれてとっさに近所の知り合いの少年にもらったと嘘をついてしまう。帰ってきたメアリは少年が校長にさらわれたことを知り、助けに向かう。
そこそこ面白そうな話にも聞こえるが、この時点で映画は折り返し地点。一時間弱もかけて、ようやく始まったといったところ。
また、それ以前も、それ以降もお話に粗が多く、初稿の脚本かと思えてしまう。
魔法大学に迷い込んだ時、メアリは新入生だと勘違いされて校内を案内される。よくある展開だが、他の新入生が来る予定があったなど、説得力持たせようとする工夫がまるでない。
大きな破たんではないものの、どこかかみ合わない場面が多く、先述の初動の遅さと相まって、さらに集中力を低下させる。
後半で話が動き出してからも、それほど巻き返してくれるような面白さも感じなかった。いったん冷めた心はどうにも熱しづらい。
ジブリ、駿に限らず、他のあらゆるエンタメ作品と比べても動き出すのが圧倒的に遅いので、火かき棒を鼻腔に入れてジブリ映画の記憶を消してみたとしても退屈すること請け合い。
もちろん作画のクオリティは高く、躍動感のあるアニメーションが見れるのは保証できる。
しかし、今年『夜明け告げるルーのうた』をみて、画の動き一つ一つがキャラクターの息遣いとなってドラマを盛り上げているのを体感したので、どうにもイイ作画というだけでは心に響かなかった。
もしかして、新海誠がジブリ囚われまくった『星を追う子ども』の後に大ヒット作を作ったので、米林監督も本作を作ったことで、ジブリから解き放たれたのかもしれない。そうじゃないと、それ以外に価値がないんじゃないか。
それと、
序盤にメアリが人の役に立とうとして空回りしたり、ピーターが新聞配達をしたりする場面で、仕事や役割といったものが強調されていたような気がするんですが、どこで回収されたか全くわからないんですが、わかった人いませんかね。そもそも前フリだと思ったのは気のせいですかね。
ネタバレのストーリー振り返り。
面白い映画だったら。面白いところの話ができる。つまらない映画だったらダメなところで盛り上がれる。 でもよくわからない作品だと何を話していいかもよくわからない。謎の魔女が、魔法の花、夜間飛行の種を盗み出すところから始まる。
魔法の研究所のような施設の外壁を逃げてい様は、飛空艇から逃げるシータのよう。 ジブリ連想は揚げたらきりがないのでもういいでしょう。
鹿をみたらヤックルと思えくらいの脳みそでは、ジブリでないものを探す方が困難。
魔女は、追っ手から逃げ切ったものの、力尽きて地上に落ちてしまう。
魔女のホウキ、花の種が森の中の残された。
時は流れ、主人公のメアリ登場。
メアリは両親の仕事の都合で、大叔母の家に引っ越し。
田舎で退屈しながらも、大叔母、侍女、庭師と仲良くなじんでいるようだ。
メアリのキャラクター像は映画を観終わってもよくわからなかった。退屈そうな顔をして田舎の風景を見ている様子では、どこか非日常を求めているようだし。 積極的に家事を手伝おうとしているのを見ると、現実をしっかりと生きているように見える。 庭師を手伝って花をダメにしたり、自分のクセのある赤毛を嫌っていたりするのは、自分に自信のない描写なのだろうか。
「変わりたい」そうセリフで表されてはいるものの、具体的にどんな現状に憂い、どのように変わりたいかは示されない。
ゆえにラストのセリフ「魔法はいらない」の持つ意味や、メアリが冒険を通してどう変わったかがまるでわからなかった。
さらに言えば、この映画が何を目指してどこに到達したのか、何がしたくて、何ができなかったのか。すべてがわからない。
メアリは近所の森の中できれいな花とホウキを見つける。その花のつぼみを潰してしまうと、青白く光り、握っていたホウキが宙に浮く。そしてそのまま雲の上の魔法の国へと連れて行かれてしまう。
この時点で、一度森に行って花を見つける。別の日にまた森に行ってホウキを見つけるという2度手間。 近所にすむ少年、ピーターと出会ったりはするが、仲を深めたりはせず、後半に活きてくる感じはしない。 一応いなくなった猫を探すという目的はあるものの、魔法の国へさらわれたなんて話は出てこないので別の話が始まったような感じがする。
百歩譲って、黒猫がいなくなった白猫を探すようにメアリをけしかけたという理屈は通るのだが、猫の鳴き声だけでは説明しきれきれていないため、どうせなら魔法で猫語がわかるようになればよかったと思う。もちろんジジとかぶるのを避けたかったのかもしれないけど、それなら黒猫はやめといたほうがいいんじゃないかしら。
空飛ぶホウキに連れられ、魔法大学に来たメアリ。大学の校長と出会い、魔法の花の話をする。花のありかを聞かれてとっさに近所の少年にもらったと嘘をついてしまう。
校長はメアリを見て、新入生だと勘違いする。べつに新入生が来る予定があったとか、あとあと本物が登場してメアリの素性がばれたりはしない。
森に2回入り、学園に2回行き、探してた猫が探さなくなったあたりで見つかったり、脚本が練られていないように見える。
魔法大学を案内される場面で、メアリが天才魔法使いだともてはやさる。今後のドラマに利いてきそうにも思うが、ここもよくわからない。偶然手に入れた魔法の花の力と、もともと持っている赤い髪の毛を同列に褒められるので、上っ面も本質も両方ほめてもらっていて虚しいのかなんなのか。
メアリは家に帰宅できたが、ピーターが行方不明になっていることを知る。すると校長からメッセージが届き、ピーターを返してほしければ花を持っこいと要求してきた。メアリは、自分の嘘のせいでピーターに危険が及んでしまったと後悔し、救出に向かう。
ピーターをさらった校長の物言いが変だ。「ピーターを返してほしければ花を持ってこい。持ってこなければ(メアリを)変身の刑に処す」異形のモノに変えられるのは恐怖だけど、いまいち何を言っているかわからない。どちらにせよピーターを助けに行くし、助けに行ったら、メアリが新入生を騙った件は不問になるってことなのか。葛藤にもならないし、二者択一でもないし、なんなんだ。ここもまた脚本が整理されていない。
ピーターを助け出しに行くと、ついでに行方不明の白猫もいた。
ピーターがさらわれてなかったらどうするつもりだったんだこいつ。
脱出しようとして、ピーターが出口を探そうともがく場面、「俺も大人になって、早く母に楽をさせたい。変わりたいのはお前だけじゃないんだ」 いわゆるテーマをセリフで言っちゃうやつ。な上に会話の流れがおかしい、いま変わりたいとかそんな話題は出てたっけか。
メアリは、救出に失敗し、花を奪われてしまう。
ピーターは校長の、花を使った実験台にされ、魔法生物に変身。
おそらく実験は失敗したのだろう。駿的液体に変身し暴れまわる。それを止めようとするメアリに対するセリフ「そいつはどんな魔法も使えるバケモノなんだぞ!」もはや実験が成功なのか失敗なのかもよくわからない。
魔法の本の力でピーターは元通り。二人で無事家に帰ることができた。
魔法の本の、魔法を解除する魔法も2回使われていて、盛り上がりに欠ける。
帰る途中、花のつぼみを一つ持っていることに気付いたメアリは「魔法なんていらない」そう言って花を捨てる。
よくわからない。のび太が秘密道具で調子に乗るみたいなシーンもないし、メアリが自分の願望をかなえたような様子はなかった。禍の元だと思えるような描写はいくつかあるが、それを学んだ様子はない。功罪の罪の部分だけを説明されてそれで手放すというのは、学習とは言えても学びのドラマとは言い難く感動も薄い。ってか全く心に響かない。 なにを目指してこうなったか
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