『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol. 2』ほしいものは全部そろってる。そろってはいる。
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー: リミックス』(ディズニー曰く)
Guardians of the Galaxy Vol. 2
2017・米
ジェームズ・ガン
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待ち望んでいた続編。ほしいものは全部そろってる。そろってはいる。
ガーディアンズ2 初日に見に行ったけども、自分でも捉えようのない期待感で見に活きました。傑作間違いなしと意気込んでもないし、どうせ駄作だと決めつけてもいない。とても凪いだフラットな心持ち。
結果的に、高い方のハードルと低い方のハードルの間をするりと抜けるような及第点。
前作ファンなら腹7分目くらいの満足感は得られるはず。期待を大きく上回る最高の続編、とはいかないけれど、要求には応えてくれる安定の続編。続編らしい続編。
会いたかった連中に会えるし、ノリのいい音楽と、それにマッチした映像。小気味いいジョーク。ほしいものはすべてそろっている。
むしろ揃い過ぎてて、若干テンポが悪いのは難点かも
アクション、映像面はパーフェクト、音楽のリズム感と、人物やカメラの動きがシンクロしていて見ているだけで気持ちがいい。
でもストーリー面がどうにも求心力に乏しく見える。もちろんキャラクター個々のドラマは魅力的だし、やりとりは楽しい。それでもこの映画一本に課せられた目的が生まれるのは後半になってからなので、前半はなんだか散漫な印象。
過積載過ぎて、一度見ただけでは容易に把握できないところはMCUらしくもある。2作目ではあるものの、多作シリーズの一本といった落としどころな感じ。
↓ネタバレ感想↓
革新的だった前作の音楽使い
主人公ピーターのウォークマンから流れてくる(という設定)のBGMは作品の雰囲気を決定づけるものだった。
前作以降、ピーターの周囲では地球産音楽が市民権を得てきたようで、ガーディアンズの仲間たちや、ラヴェジャーズたちも聞いているものらしい。ゆえに、ピーターが地球に囚われていたころのノスタルジックな手触りはまるでなく、もはや宇宙レベルの共通言語になりつつあるようだ。
前作ラストにおいて、ピーターは居場所を得た。それにより地球への思慕はなくなっていると言っていい。そのため、手触りが変わってくるのは当たり前と言えば当たり前だけど。前作の地球へ(母へ)思いを馳せるピーターが好きだった。
30歳過ぎてようやく母とのお別れができたピーター。となると残りは謎の父親について。前作ラストで、触れただけで肉体が崩壊するオーブを手にして生還し、生体検査でもただの地球人ではないと明言されていた。
そして登場するのが、カート・ラッセル。あの頃の男の子たち全員が憧れた漢のなかの漢である。
映画冒頭では、地球にいたころの父と母の蜜月の時が描かれ、本編登場場面ではガーディアンズのピンチを救うといったパーフェクトな登場の仕方。
しっかしその正体は、何のことはないヴィランで、その名もエゴ・リビングプラネット。星自体が意志を持ち、それが作り出した分身がピーターの父親。初めは父子の再開を演出したりするが、目的はピーターが受け継いだ能力を利用すること。
別にカート・ラッセルが敵役なのは問題ない。
問題なのは、本当はフェイクであるはずの感動ドラマをちゃんと演出しすぎで、本当に感動的な場面に見えてしまう。中でも親子でキャッチボールをする場面はベタながらぐっとくる。でも結局は終盤の本性を表すどんでん返しのためのブラフでしかない。
このブラフのせいで、本命であるはずのヨンドゥに割く時間が削られてしまっている。ラストの共闘と想い出ワンカットだけでは、さすがに喰い足りない。カート・ラッセルに若返りCG処理してまで過去場面を入れるくらいなら、ピーターとヨンドゥの想い出話のほうが見たかった。
本編中でも互いに話題に上るばかりで、実際にやり取りをするのは終盤の一コマばかり。脇役だった前作のほうがヨンドゥはキャラがしっかりしていたと思う。
メインテーマが食い足りなく感じたのは、結局のところ詰め込みすぎが原因だと思う。
新キャラクターのマンティスや、一応の敵役アイーシャはお話を転がすためだけの存在にしか見えなかった。
良くも悪くもこの過積載な感じ、過剰さこそを楽しむ感じは、MCUの一作品らしいと言えるかもしれない。
しかし、前作の持っていた一本の映画としての完成度に魅入られた身としてはどうにも寂しくて物足りない。
それでも、いつものMCUくらいの満足度保証は間違いなくある。
手のひらを返すようだけど、結局のところマイナスな印象はすべて高望みが原因なため、もう一度まったり見れば評価は変わるかもしれない。いずれにせよインフィニティ・ウォーもガーディアンズ3も絶対見に行く。
アレな邦題は結構話題になってガン監督にも伝わったらしいけど結局もとには戻らず。サントラのタイトルにもリミックスなんて付く始末。(本国版を買いました)
ラグナロクがディズニー変換されるとバトルロイヤルになるってのはもうあきらめろってことでしょう。一縷の望みはソフト化の時に直すことくらい。でも望み薄。
せめて原題のタイトルでリバーシブルジャケットとかどうでしょう。
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